富士山の撮影へ
人の気配はなく、あるのは時折走り屋が走り去っていく音のみ。
このままでは撮影が無事済んだとしても、スカイラウンジがオープンしてそこで10時過ぎのバスまで待てない、そもそも7時のオープンまで持たないかもと思い、その場で撮影後の朝6時にタクシーの送迎予約をしようと電話。
ところがタクシー会社はどこも予約が埋まってますとのこと。
「そんなことあるのか!?」と思いつつも、この瞬間に撮影の後は自力での下山を決意。
エベレストに単独で登頂する人とか宇宙飛行士の地球から離れての活動に比べればとか、比較の対象がおかしくなっていました。
真っ暗で先も見えないまま2時間半。身体が冷えきってガクガク。
3:30 風がやや弱まり、虫の音が聴こえ始める。
ここでようやく大丈夫かもと思う。
4:00過ぎ ようやく人の気配が。
同じように早朝の富士山を撮影しに二人組の年配の方が登場。
ホッとしました。
が、いよいよ撮影のセッティングをしようにも身体がガクガクしてしまい思うように動けず力も入らず。
何のためにここに来たんだと自分に言い聞かせる。
そんな状況に陥りながらもその後現れた景観に、やはり急遽今日来て正解だと思いました。
夜が明ける前はあれだけ濃霧で風が強かったのに、最終的には富士山がほぼ全景を見せてくれました。
狙っていたブルーアワー、ゴールデンアワーとまではいきませんでしたが、これはこれで荘厳な雰囲気でした。
撮影しながら感じました。
もちろん日本一の山は富士山だし、昔から富士山をモチーフに写真撮影したり絵を描いたりする人は数多くいるけれど、正直なぜそこまでなのだろう。
私は思いました。
自分は富士山をなめていたと。
厳しい状況を乗り越えた後で見たあの佇まいに余計そう感じたのかも知れませんが、あの存在感、雲の中から出現するところはもはや神々しくもありました。