K-1 GP’96 決勝戦を終えて
K-1 GP’96 決勝戦を終えて

B3 マーメイド紙 / クレヨン
2011年

解説

この作品はK-1グランプリ’96で初優勝を果たした後のシーンである。長い戦いを終えホッとしたような安堵の表情を浮かべているところに癒される。

コメント

実は今回の15作品の中で一番初めに描いたのはこの作品である。きっかけは、東日本大震災だった。

日本中が不安の中にいたあの時、またそんな時に何もできない自分。自分を落ち着かせるためにふと思いついたのは、自らの精神的支えとなっているアンディ・フグの絵を描くことに没頭することであった。

人は皆大小さまざまな悩みを抱えながら生きている。自分もこれまでたった三十数年ではあるが紆余曲折を経て生きてきた。しかし学生時代以降苦しい時、つらい時にいつも心の中にいたのはアンディ・フグだった。アンディ自身も外国人最強空手家として鳴り物入りでK-1に参戦した当初は負け続けて、周囲からはプロ格闘家としてはもう辞めた方がいいのではと囁かれるようにもなった。だが彼自身だけはK-1グランプリ優勝という夢を諦めなかった。そして実現。私は負けても這い上がるその勇姿に勇気をもらい続け、何とかここまで生きてきた。その思いをクレヨンの一タッチ一タッチに込めて少しずつ塗り上げて完成させた。